第53回 水を得た魚

概要

「２年前に別れた妻を捜してほしいんです」と、３４歳のシステムエンジニアが訪ねて来た。
妻（２７）もＳＥで、彼女の浮気が原因で離婚。２人の間には４歳になる息子がいる。依頼者が引き取り、月イチで彼女に面会させていたが、最近になって連絡が取れなくなったという。
聞き込み調査で、離婚後はＳＥを辞めてキャバクラで働き、男出入りが激しかったこと、現在は渋谷の風俗店で働いていることなどが分かった。
それもかなり人気の風俗嬢らしい。
これも聞き込みをして分かったことだが、彼女は「数千円のチップを弾むだけで簡単に”本番”オーケー」らしい。人気になるわけだ。
依頼者は客を装ってその風俗店を訪ね、元の妻を指名したという。
「アイツ、私の顔を見てもまったく動じないどころか、普通に客を扱う態度で、私の前で堂々と裸になって・・・」
依頼者はその場でキレて帰ってきたという。
「息子には”ママは死んだ”と話します」と肩を落とした。
アレが好きで自分でもどうしようもない”ほとんど病気”の女性は少なからずいる。夫にとっては悲劇だが、彼女にとって風俗嬢は”天職”なのだろう。
「水を得た魚のようだった・・・」 と言った御主人の言葉が、頭に残った。