第62回 意外な不貞

概要

「仕事が忙しくて、２ヶ月ほど彼女をほったらかしにしていたんです。久しぶりにあったら、何かが違うのです。うまく言えませんがねぇ・・・」
依頼者の銀行員（３５）はそう言って、しばらく黙り込んだ。
「あえて言うなら、雰囲気ですかね。妙に色っぽくなったというか」
商社ＯＬの彼女（２８）とは、結婚を意識しているという。ささいな不安でも解消しておきたいのだろう。
尾行初日。仕事を終えた彼女は、２０代前半の女子と新宿で待ち合わせ。２人は居酒屋で２時間ほど飲んで帰宅した。
２日目。初日に会った女性とまた待ち合わせをしてバーへ。連日飲み歩きはいただけないが、まあ許容範囲内だろう。浮気の様子はない・・・と思った瞬間、バーから出てきた２人は女同士、路上でキス。そのままラブホテルへ向かった。
あっという間の出来事に、キスの証拠写真は撮れずじまい。
仕方がないので、ラブホテルを出入りする２人の写真を依頼者に見せた。
「・・・・・」
絶句する彼。
「２人が出会った経緯まで調べますか？」
「いや、もういいです。やっぱりレズ・・・ですかね」と彼は泣き笑い。
彼氏にほったらかしにされている間に、目覚めてしまったのだろう。
彼の勘はそれだけ鋭かったわけだが、それじゃ慰めにもならないか。