第63回 男の最低条件

概要

ＩＴ関連ベンチャー企業の経営者（３４）は、お世辞にも「イイ男」とは言えない。が、収入は同世代のサラリーマンの５倍以上はある。
妻（２８）は元モデルというだけあって、スタイル抜群の美人。
朝からエステとジム、午後は英会話教室に通っている。
彼女にひと目ぼれした彼がプレゼント攻勢で口説き落とし、半年前に結婚にこぎつけた。
都心の高級分譲マンション暮らし。子供はいない。
うだつの上がらないサラリーマンにとっては夢のような生活だろう。
彼はそんな理想の暮らしを支えるために朝から晩まで、それこそ不眠不休で働いていた。
夕方、英会話教室を終えた妻は、近所のカフェで友人とおしゃべり。しばらくして彼女を迎えに現れた高級外車に乗って帰宅した。
車を運転しているのが夫なら問題はないが、実は歌舞伎町で売れっ子のホスト。
自宅に仕掛けておいた盗聴器を通し、彼女の切ないあえぎ声が聞こえた。
３日間尾行したが、彼女は３日ともホストを自宅に上げている。
「やっぱり浮気していましたか・・・恥ずかしい話ですが、仕事のストレスであそこが使い物にならなくて。ずっとセックスレスなんですよ」——妻の素行調査を依頼してきた夫は、徹夜仕事で充血した目をうるませた。